前回①の続きです↓ が最終章になります。

 ②

やっとの思いで自分の階に辿り着き(一つの階ごとに三部屋ほどしかない縦長ホテルでした)、部屋に入って荷物を置いてベットにダイブ。 そこで急にさっきの出来事と、自分が今本当の意味でのひとりぼっちであることを思い出し、泣けてきました。

夜ご飯は食べてないですし水もない、これは外に買いに行くしかないと思いつつもさっきの一件で外に出て人と接するのがとても億劫に感じました。それでもしょうがないので鍵をもって降り、でて行こうとすると、さっきのガン無視ウェイター(野郎 失礼です)が何やら意味のわからん英語で引き止めてきて「key please」と言われたので、あ、出るときには毎回鍵を渡す式か(今思うと顔だけで宿泊者かどうか認識するホテルなんて結構なホテルだと思いますね、ヒヤリ)、と気づき渡して出かけました。

とりあえず外が怖かったのもあり水とポテチだけを買って、鍵をもらって部屋に戻りました。

この鍵をもらう時、先ほどのマスターが渡したと見せて手を引っ込めて渡さないようなそぶりをして、茶化すようなことをし、冗談のようなことをして笑かそうとしましたが、彼がどのような意図でそれをやったにしろ、その時の私は顔面蒼白真顔だったのでこの行為も先ほどのウェイターの件とリンクしてアジア人差別されている、と強く感じました。  

その日はもう心身ともに疲れ切ってしまったので気づけば寝ていて、次の日。

あの差別野郎と会うのは嫌だなと思いつつも、スーツケースを持ってチェックアウトをします。

ですがどうでしょう、マスターは笑顔で、「よく眠れましたか?」と言いながら「今日は良い1日を!」

と言って私を送り出したのです。(もちろん昨日と同じ人ですよ)

??????

差別、、野郎(失礼です)、、、?でもない??

そうしてやっと、昨日の夜のあの鍵の渡す渡さない冗談というのは彼の茶目っけでありただの冗談だったと気づくわけです。

ここでみなさんはもしかしたら、いやこの冗談も含めてウェイターの対応も含めて、アウトだろ、差別だ!!!と思う方もいらっしゃると思います(これが観光で短期間のフランス滞在で起こると、こう思う方の方が多いと思いますし、私自身その当日はそう思いましたので日本の感覚からいくと妥当な解釈です)。

ですが、その後フランスで約半年過ごす中で、これは差別でない可能性の方が高い、と思うようになりました。もちろんウェイターの件については差別の可能性もなきにしろあらずですが。

なぜか?それは、いい意味でも悪い意味でもフランスは「お客様は神様」の国ではないからです。

あくまで働いている側と客は対等な関係、もしくは働いている側の方が権力を持つ国です。

え、それでもサービスやマナーは最低限しっかりしろよ、と思うかもしれませんが、日本のような上質でお客様のことを第一に考え、お客様の表情や行動から今何を求められているのか考えることををサービスとして思って、そこから最低限のサービスを想像してはいけません。

上質なマナーが安心して安定的に絶対的にフランスで与えられるのは少なくとも超高級ホテルなどだけでしょう(もしかするとそこでも危ういかもしれないですが)。もちろん高級ホテルでなくてもそれを提供しているホテルとは何度も出会いましたが、「安定して絶対的にサービスとマナーを求める」ならば、高級ホテルぐらいしか自信を持って言い切れないです。

に続く→→