Si tu veux(あなたが良かったら)

よく、フランス留学時代にアジアの留学生の間で話題になったフランス語のフレーズがあります。フランス人がよく使う「Si tu veux(英:If you want)」です。

と言ってもこれが話題になるのはあまり良い意味で、ではありません。フランス文化とアジアの文化の違いがよく現れている話題で面白かったので、今回記事にしようと思い出しました。

それは例えば、次のような文脈で使われます。

「ねえ。今日の夜ご飯でも食べに行こうよ。Si tu veux.(君がしたいなら)」

「え、行けないの。分かったわ。Comme tu veux.(君のしたいように)」

これをアジアからの留学生は何か上から目線で、誘っている本人が責任をこちらになすりつけているように感じてしまうことが多いのです。 「私/僕は別にどっちでもいいけど君が来たいならね。」のように聞こえてしまうのです。いやそっちが誘ってんじゃんか、と思ってしまうわけです。

ですが、このことをフランス人に尋ねてみると、「相手の意見を尊重しているよというメッセージであり、自分がそうしたくて誘っているのは大前提だから、わざわざそれは言わずに相手にだけ聞くんだよ。お互いどんな内容の誘いでも、軽く誘って軽く承諾したり、軽く断ったりするのが一般的だ。」と言われました。

なるほど、フランスはお互いにタフな関係で、誘っている人も誘われている人も独立している関係なんだなあとわかりました。確かに、日本を含むアジアでは、相手を誘う=誘った自分が責任を持つ。といった意味合いが少し含まれている感じがします。だから私を含むアジア人留学生は毎回なんなんだ、と思ってしまっていたのだなあと思いました。

些細なことではありますが、このように言葉の隅のちょっとした言い回しにその国の文化が大きく染み込んでいることにびっくりすることが多かったです。

海外旅行とは違う長期留学の醍醐味はこういった所にあるのではないでしょうか。