前回に引き続き、ドイツ留学をしていた遠藤さんへのインタビューです。第二回では留学から得た学び・変化についてフォーカスしていきます。日本とまったく異なる世界を見て、遠藤さんの心の中で何がどう変化したのでしょうか。
留学によって変わった世界観・価値観はありますか?
大それたことは言えないんですけど。ただ自分めちゃめちゃ幸せなんだなと気づけました。
ドイツには当たり前のようにホームレスがいて、ドラッグストアとかの前に座って通りすがる人に賽銭コップ鳴らしてせがんでいました。店主に気づかれたら近寄るなと言われたり、高架下に住んでたり。そんな人たちが当たり前にいるのを見ました。更に当時メルケル首相が難民受け入れをしたことで、白人の人たちが働いて、黒人が単純労働してたり、やすい商売してたりっていう社会構造が生まれてたり。日本に帰ってすぐ俺は就職したんだけど、学校をまっすぐ上ってきただけで就職口があってっていう状況があまりにゆるく見えてしまうほどでした。
日本の働き方とドイツの働き方の話をお聞きしましたが、結果どちらが良いと思いますか?
日本ですね。最初はブラック企業て体が拘束されたりとか、パワハラがあったりとかって思ってました。でもその人がとにかく働いてて楽しいっていう状態ならいくらでも働いてもいいと思うんです。ブラックか否かは個人の認知の問題かもしれないなと。そう思って、就活とかドイツの経験を鑑みたところ、今の自分にとっては日本のほうがいいのかなと思いますね。あ、あと日本はボーナスがあるんでね。(ドイツは)ボーナスもほぼないし、退職金もないし。あったとしてもクリスマス休暇くらい。それも、ドイツでは正月三が日がなくて。年末年始の花火上がったらすぐ仕事行くみたいな。もっと余韻に浸らせてよって思いました。だから日本のほうがいいなと思います。
留学後の目標はありますか?
ちょっとクサいんですが。4,50代くらいになりたい目標象が二つあります。一つが、ゼロから一を作れる人間になる。二つが、自分の持ってるスキル、能力、経験を若い世代に与えられるような人になるてことです。
一つ目は、留学中に大学辞めていろんな人に会ったって言ったじゃないすか。そこで本当に自分が面白いと思ったり、熱くなれることをビジネスにしていたりって人を見ました。面白いからってだけでそろばん教室立ち上げたり、夫婦で文字通り日本とドイツの橋渡しをしたりって人もいました。紆余曲折あれど、最終的に自分が燃える事だったりをしてる、自営業とかフリーランスとか起業家とかに出会ったので、僕もそうなりたいなと思いました。二つ目も似たようなことなんすけど。そういう人たちに会った時、どこの馬の骨かもわかんないような日本人学生に彼らは時間を割いてくれたんです。仕事があるにもかかわらずです。その経験が今の僕にとってすごく有難くて。そんな人たちにあこがれて、僕もそうなりたいなと。ゼロから一を作り、そんな経験とかを社会に出る前の人たちに何かしらの形で影響を与えて、ちょっとした転機に携わることができたらいいななんて思ってます。
そうなるために今何をするのかっていうと、今の後輩で、留学に行けないっていう悩みを持った人たちにイベントを立ち上げたり相談に乗ってあげたり情報を提供したりとかしてハッピーになってもらう。こういうのが直近の課題ですかね。
留学を通して叶えたい目標ができて、そのために何をするのか逆算をして今、何をするべきかを考えて生きています。
留学中に出会った人の中で印象に残った人はいますか?
二人います。ルームメイトだったんすけど。一人が、ヨルダン人のアデルって子。当時キッチンとか御手洗とかは共有で、部屋は別々みたいな学生寮に住んでました。部屋は四人で共有する感じでした。ルームメイトはベトナム人、シリア人、ヨルダン人でした。そのヨルダン人のアデルって子が、こっちが怪しんでしまうくらい優しくて。僕が部屋に入る度、「よお元気か!」ていっつも声かけてくれたり。壁を感じさせないやつだったんですね。人種から全てが違うのにも関わらずです。「俺は全て受け入れてるぜ」みたいな。とにかく優しさが印象的でした。こんな優しいやついんのかって。
二人目がシリア人のラミって子です。イスラム教徒だったんすけど、その子は特に宗教観ってのが印象的でした。後にアデルとベトナム人の子が引っ越して、同じくイスラム教徒のトルコ人が二人入ってきたんですね。なのに彼ら二人はアルコールは飲むわ肉は食うわで。教えに真っ向から背いてました。俺はどうしても気になって二人で食べてるときに「あいつら何なんだ」て言ってやったんすよ。そしたたらまさかの答えが返ってきて。
「俺はどうでもいい」
だったんですよ。
なんで?て聞くと
「それは彼らが決めることだ。例えば京平はお酒飲んでるやつのこと、どう思う?お酒飲んだら人に迷惑かかるだろ?酔っぱらってうざいやつになったり、はめ外しすぎたりするじゃんか。だから俺は酒は飲まないんだ。」
それを聞いて、彼はあくまで宗教は宗教で、自分は自分でっていう線引きがうまくできてる子で。宗教は絶対的な物じゃなくて、それに対して自分がどう考えるかを考える方がよっぽど大事だっていう考え方をしてて。今まで全く知らなかった宗教観を教えてくれたって意味でも、それ(彼)がすごく印象に残ってますね。
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今回はここまでです!次回もお楽しみに!
インタビュー:寺澤、福井、中嶌、野田 編集・記事化:村中